炎症性腸疾患(IBD)センター
炎症性腸疾患(IBD)とは
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease 頭文字をとって”IBD〔アイ・ビー・ディー〕”という略称も使います)とは、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)に慢性の炎症を引き起こす疾患であり、潰瘍性大腸炎とクローン病に大別されます。炎症性腸疾患は、もともと欧米人に多い疾患と言われていましたが、本邦でも年々患者数が急増しており、特に潰瘍性大腸炎の患者数は、アメリカ合衆国に次いで世界で2番目に多くなっています。
潰瘍性大腸炎、クローン病ともに原因は未だ不明ですが、主に自己免疫が関与しているのではないかと考えられています。本来は細菌などの外敵から身を守る働きをするはずの免疫機能が自分自身の臓器を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つとされています。現在までの研究から病因としては、”生活環境や食生活の西洋化などの環境因子”、”腸内細菌の質的・量的変化”、また”発病しやすい遺伝的素因の存在”などの複数の要因が相互的かつ複雑に関与していると推測されています。
炎症性腸疾患は消化管の病気ではありますが、消化管以外に関節炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、眼症状(ぶどう膜炎、虹彩炎)などの消化管外合併症を伴うこともあります。
潰瘍性大腸炎とクローン病は類似した点もありますが、全く異なる疾患です。詳しくは以下のページをご覧ください。
チクバ外科病院での炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)患者さんの状況
現在、チクバ外科病院では、潰瘍性大腸炎:約215人、 クローン病: 約115人の患者さんが治療を受けておられます。
全国 | 岡山県 | チクバ外科 | |
クローン病 | 41,668人 | 746人 | 約115人 |
潰瘍性大腸炎 | 128,734人 | 1,969人 | 約215人 |
特定疾患医療受給者証交付件数(H29年度)
衛生行政報告例
患者さんの数は、年々増加しています。
難病情報センターホームページより「わが国の医療受給者証交付件数の推移」
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)チームについて
当院は、炎症性腸疾患(IBD)チームが一丸となって、炎症性腸疾患患者さんをサポートしています。
炎症性腸疾患チーム
炎症性腸疾患チームのメンバーは、医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、調理師、臨床工学技士、診療放射線技師、ソーシャルワーカー、事務職員で構成されています。
■IBD診療の流れ
■お薬の話
■レミケード治療とは?
炎症性腸疾患の患者さんでは腸管にたくさんのTNFαが集まって、炎症を引き起こしていることがわかっています。
TNFαは炎症や免疫反応に関係しているサイトカインの一種で、
このTNFαの働きを抑えることを目的として開発された薬がレミケードです。
治療の間隔は初回投与を行って2週後、6週後に投与し、以降8週間隔で投与します。
点滴時間は症状と投与回数等で異なりますが概ね1~2時間です。
2018年1月現在、58名の方が当院でレミケード治療を行っておられます。
(*当院ではヒュミラ注射液による治療も行っています。)
■GCAP治療とは?
GCAP治療とは、アダカラムというカラムで、血液中の顆粒球・単球を吸着除去する治療法です。
クローン病・潰瘍性大腸炎どちらの患者さんにも行うことができます。
腕に2ヶ所針を刺して、専用の装置と回路で血液を抜いて、
カラムに通して体内に戻すという治療を行います。
1回の治療時間は1時間です。
当院のGCAP治療は、潰瘍性大腸炎の場合、週2回行い、全10回まで行う場合が多いです。
クローン病の場合は、週1~2回行い、全5回もしくは全10回まで行います。
GCAP治療は薬ではないので、副作用がほとんどないのが特徴です。
クローン病の患者さんで、レミケードの効きが悪い方に、GCAP治療を行う場合もあります。
炎症性腸疾患患者講習会について
チクバ外科病院では、潰瘍性大腸炎・クローン病の方、またそのご家族の方のための 料理講習会・講演会を年に1~3回行っています。
講習会のコンセプトとして「学ぼう・探そう・食べよう」の3つをかかげています。
講習会を通して、病気や薬、調理方法、栄養療法の大切さなどを学んでほしい、
情報を共有したり相談できる仲間と出会ったり、自分に合った食事を探して
欲しい、手軽に作れるおいしい料理を知り食べることを諦めてほしくないという思いでこの3つに沿って講習会を開催しています。
過去(今後)の料理講習会・講演会
※料理講習会のメニューをクリックすると、レシピを見ることができます。
日付 | 講習会 | 講演内容・メニュー | 参加人数 |
2012/11/11 | 第1回料理講習会 | チキンかつ丼 | 7名 |
2013/5/19 | 第2回料理講習会 | 中華蒸しパン | 9名 |
2013/9/8 | 第3回クローン病講演会 | 「クローン病と上手く付き合うために」 市川さん |
14名 |
2014/2/16 | 第4回料理講習会 | ヘルシー餃子 |
1名 |
2015/8/30 | 第5回炎症性腸疾患講演会 | 「炎症性腸疾患最近チョー増えています」 チクバ外科 内科部長 垂水研一医師 |
24名 |
2015/11/29 | 第6回料理講習会 | 旬の魚のヴァンブランソース ミネストローネ・デザート |
11名 |
2016/3/6 | 第7回炎症性腸疾患講演会 | 講演「私の出会ったIBD患者さん」 森田伸二氏(三雲社 CCJAPAN編集部) |
23名 |
2016/9/4 | 第8回料理講習会 | カレーパン |
15名 |
2016/11/22 | 第9回炎症性腸疾患講演会 | 講演「ペンタサ®、アサコール® 基本、表・裏話」 チクバ外科 内科部長 垂水研一医師 |
23名 |
2017/3/5 | 第10回炎症性腸疾患講演会 | 講演「きっと乗り越えられると信じて」 畠山一洋氏 |
21名 |
2017/6/18 | 第11回料理講習会 | チーズケーキ | 16名 |
2017/10/28 | 第12回炎症性腸疾患講演会 | 「免疫抑制薬ですか?免疫調節薬です!!」
チクバ外科 内科部長 垂水研一医師 |
17名 |
2018/6/24 | 第13回料理講習会 | あんかけチャーハン・ワンタンスープ | 9名 |
2019/2/16 | 第14回炎症性腸疾患講演会 | 「IBD治療 ~新しいヤツ!~」
チクバ外科 IBDセンター長 垂水研一医師 |
36名 |
2019/6/23 | 第15回料理講習会 | チーズリゾット・ベイクドスープパスタ
低脂肪クレープ |
10名 |
2019/11/15 | 第16回炎症性腸疾患講習会 | 「IBDの腸管外合併症のお話」垂水研一医師
「IBDの外科のお話」鈴木健夫医師 「IBDの看護のお話」福島怜子看護師 |
32名 |
2024/7/20 | 第17回炎症性腸疾患講習会 | ゆっくり解説 炎症性腸疾患について 垂水研一医師 | 15名 |