逆流性食道炎
逆流性食道炎とは
胃酸を多く含む胃の内容物が食道内に逆流して起こる症状を、胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease:GERD)といいます。逆流性食道炎とはGERDによって食道粘膜に炎症が起きている状態を指します。
原因
食道粘膜は胃粘膜と違って、胃酸(強塩酸)の刺激から保護する仕組み(胃には保護するための粘液がある)がないので、胃酸に触れると炎症を起こしてしまいます。食道の粘膜が胃酸に触れてしまう原因として、食道と胃の境目である噴門部の筋肉(下部食道括約筋)の筋力低下による逆流、食道裂孔ヘルニア、腹圧の上昇などが挙げられます。
下部食道括約筋の筋力低下の原因としては暴飲暴食、不規則な食生活が挙げられます。また、妊娠中や肥満がある方は、腹圧が上がっている状態が続くため逆流性食道炎を引き起こしやすいと言われています。
分類
胃食道逆流症は逆流性食道炎と、逆流症状はあるが食道粘膜に炎症が起きていない非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease:NERD)に分けられます。
また、食道粘膜の炎症の拡がりによっても分類されます。
Grade N(NERD) | 粘膜に変化を認めないもの |
Grade M | 粘膜障害は認めないが色調変化を認めるもの |
Grade A | 5mm以下の粘膜障害を認めるもの |
Grade B | 5mm以上の粘膜障害を認めるもの |
Grade C | 二つ以上のひだを跨ぐような粘膜障害を認めるもの |
Grade D | 全周の75%を超える粘膜障害を認めるもの |
症状
主な症状としては、胸やけや呑酸(酸っぱいものがこみ上げてくる)、食後に胸や心窩部(みぞおち)に痛みやつかえ感があるなどが挙げられます。中には喉の違和感や咳、声が枯れるなど食道が原因と思えないような症状が起きることもあります。
診断・検査方法
- 内視鏡検査
- pHモニタリング検査
治療
基本的には、胃酸の分泌を抑える薬を使うなどの保存的治療となります。
逆流性食道炎の原因が食道裂孔ヘルニアである場合は、内視鏡治療や外科手術が適応となることもあります。